有色人種、500年の悲劇⑪ 地政学からのアプローチ

On 2013年5月2日

 

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地政学から見た世界

500年間にわたる世界の歴史を理解するためには、地政学を知る必要があります。

簡単に概説しますと、世界地図を眺める場合、私たちは日本が中心に来る地図を使い、アメリカでは、アメリカ大陸が中心に来る地図を使います。地政学では、ユーラシア大陸(中国やロシア・ヨーロッパがある大陸)を中心とする地図を使います。

なぜならば、有史以前より、世界の大きな出来事はユーラシア大陸で起こり、その影響が西はアメリカ、南はアフリカ、東は日本を含むアジアなどに影響を及ぼしたからです。宗教や文明、そして戦乱や民族の大移動など、すべてユーラシア大陸で起こっています。そしてその影響が周りに広がったからなのです。

 

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地図ヨーロッパを中心とした世界地図

 神聖ロ~114世紀のヨーロッパ地図

 

西洋人(白人)の国々が跋扈(ばっこ)するユーラシア大陸の西のはずれの、私たちがヨーロッパと称し憧れているエリアは、実は、北海道より緯度が高く太陽の光が少ないうえ少雨の乾燥地帯で、大地は岩盤が多く土地は痩せており、農業生産には厳しい土地でした。彼らが狩猟民族と呼ばれてきたのには、このように農業生産にはあまり適していない土地柄だったことも理由の1つだと思われます。

動物をダマし(わなを仕掛ける、一か所に追い込む)殺害し、食す・・・彼らが生きるために行ってきた生存行為が、彼らの基本的な思考の根本となりました。彼らにとって、ダマし殺害することは、何万年もの間、受け継がれてきたごく当たり前の生存行為となったのです。

豊かな自然と豊かな大地と緑豊かな山と魚が豊富な海に恵まれ、自然を慈しみ、農業を営み、漁業を行い、豊かな自然の恵みを得て、自給自足の生活の中で平和に生きてきた私たち日本人では、到底理解できない違いがここにあるのです。

それだけではなく、彼らの基本的な考え方は、「自分で作れないのなら、手に入れればよい」。方法は、交易でも略奪でも、同じように手に入れることができるのであれば、全て同じ。何でも構わなかったのです。個人的に行われると、泥棒だったり強盗だったりしますが、集団になると略奪や海賊行為、国家レベルになると戦争の勝利による収奪となるのです。彼らにとっては、どの手法でも『欲しいものを手に入れるための、正当な行為』として、同じであり、罪悪感は無いのです。

江戸時代末期、日本へやってきた欧米人が大変に驚いたのは、日本はどこへ行ってもとても清潔であったことと、『家に鍵が無かった』ことでした。夏ともなると窓を開け放ち、蚊帳(かや)をつって眠っている姿に衝撃を受けたのです。白人の常識では「家に鍵をかけないということは、どうぞ盗みに入ってくださいと言っているようなもの」 これが、長い歴史の中で培われた日本人と白人の決定的な違いなのです。

ヨーロッパでは、交易よりも簡単かつ大量に必要な物資が調達できる略奪・強奪を好んで採用するようになりました。略奪であろうと大量に物資を手に入れ、自分たちの国へ持ち帰ることは、大金持ちになれただけではなく、大きく国益に貢献したということで国家の英雄にまでなれました。彼らにとって「略奪」とは、生存のため、豊かな暮らしを営むための、当然の権利だったのです。動物が子育ての為に狩りをしてくるのと同じ感覚だったのだと想像されます。

かつてのヨーロッパでは海賊も一つの職業であり、イギリス王家が、かつては「バイキング(海賊)」であったことを誇りとしていることからも、西洋人の略奪に対する感性が、日本人のものとは全く異なることが理解できます。

この結果、有史以前より「強奪の為の」戦争は絶えることがなく20世紀まで続き、彼らの欲望のままに拡大し続け、船の発達とともに有色人種が平和に暮らしていた、アジア、アフリカ、インド、南北アメリカ、オーストラリア、中近東と、全世界に白人支配による「植民地」という収奪の版図を広げていったのです。

 

「略奪が一番簡単で、一番豊かな生活を約束することで、ヨーロッパ以上のところはなかったのだ。日本では泥棒、強盗はバカがやる一番損な仕事になっている。略奪はヨーロッパでは、優秀な人間がやる企てであると考え、日本とは全く逆の価値判断である。イギリスの王家は先祖が海賊であったことを誇らしげに宣言しているほどだ」

(『日本の風土と文化』会田雄次・角川書店)

 

「地中海をめぐって、古代、ギリシアやローマが繁栄したが、それは彼ら自らが生産によって栄えたのではなく、海を介しての絶えざる侵略、略奪の結果だった。

古代都市国家アテネの市民15万人を支えるのに、奴隷が10万人もいた。

ローマ帝国の繁栄も同じであって、ローマは豊かな地域を次々と征服し、略奪し、搾取して栄えた。征服された土地が荒廃し、もう搾取がきかなくなると、それを捨ててさらに次の新しい土地を征服していった。だからローマ帝国の領土が、当時の技術や軍事力で維持・支配できる限界に達し、もうこれ以上征服侵略できる土地がなくなったその時、帝国の没落が始まった。『すべての道はローマへ通ず』の道は、陸の道、海の道とも強力な搾取(さくしゅ)の道だった。ローマの繁栄は自らの生産によるものではなく、略奪と奴隷によるものだったため、征服する土地が限界に来た時、衰退(すいたい)への道をたどるのは当然の運命であった。」

(『侵略の世界史』清水馨八郎 祥伝社)

 

 

なぜ、白人は海を目指したのか

13世紀、獰猛(どうもう)なアジア人のモンゴル帝国が版図を広げ、ロシアを征服し、さらに西へ拡大したため、モンゴル帝国に太刀打ちできなかった白人国家は、西へ西へと追い立てられていきました。東から西に、民族のドミノ現象が起きたのです。北へ広げようにもイギリスの上は北極で、南に広げようにも先進文明を持つイスラム帝国が広がり白人(ヨーロッパ)文明の力では、当時、有色人種には全く太刀打ちができなかったのです。

 

n4モンゴルの騎馬軍団

n3モンゴル帝国の版図

 

白人に残された道は、環境の過酷(かこく)な未開のアフリカ大陸、そして、西へ向かって広がる海。

追い立てられるように、海に向かったのです。ヨーロッパの人々にとっての海は、日本のように恵まれた豊富な漁場ではなく、漁場としての価値のない、単なる道(航路)としての海だったのです。

こうして海の道を使ってヨーロッパ人は西を目指し、領土の拡大を図っていったのです。

アフリカ大陸の北部から始まった白人支配は、中米、南米大陸、インド、東南アジア、東アジア、北米大陸、オーストラリア大陸、アフリカ大陸全土を席巻し、中東イスラム世界へと広がり、白人国家に対し覇(は)を唱えていたオスマン帝国さえもが、17世紀末頃から白人国家に蚕食(さんしょく)され急速に縮小。第一次世界大戦の敗戦により、西欧列強により事実上解体されてしまったのです。

アジアの覇者であった清帝国も、日清戦争で日本に負けて以降、「眠れるブタ」と揶揄(やゆ)され白人国家に実質的な分割統治をされてしまい、アジアで最後まで独立国家として残ったタイ王国も、20世紀初頭には、事実上、白人国家の支配下に編入されてしまいました。

こうして日本を除く全ての有色人種の国家が、独立を失い、人々は虐殺され、白人である西欧列強に支配され、白人の生活の向上のためだけに働く家畜以下の扱いを受け、あるいは奴隷となり、塗炭の苦しみを味わうこととなったのです。

もし、日本が、白人国家の植民地となってしまっていたら、すべての有色人種の国は白人の支配下となり、白人国家と戦える有色人種の国は消滅し、白人による植民地支配は完成。以後100年、否、もっと長きに渡り、この「白人国家」による「有色人種国家」の植民地支配が、崩れることはなかったでしょう。

 

16世紀初頭から始まった、ユーラシア大陸の西のはずれの痩せた土地で、数千年に渡り領土争いを繰り返してきた西欧列強による地球規模の植民地支配は、広大なエリアで伝統を守り、自然と共存し平和に暮らしてきた有色人種を「暴力」で支配しました。

人をダマすことを知らず、白人たちに対抗できる武器を持たず戦い方も知らなかった有色人種たちすべては、簡単に軍事侵略され支配され、拷問を受け、女は幼子に至るまで強姦され、虐殺され、奴隷となって収奪されるだけで何もできず、いつ終わるとも知れない暗黒の時代を、「自分たちでは、到底、白人に勝つことはできない」という諦(あきら)めの気持ちで白人たちを恐れながら生きていたのです。

 

東の果てにある小さな国が、暗黒の空に、彗星のごとく忽然(こつぜん)と現れる日までは・・・・・

 

 

お勧めの書籍

侵略の世界史        清水馨八郎  祥伝社 黄金文庫

裏切りの世界史         清水馨八郎  祥伝社 黄金文庫

 

 

お勧めのインターネット情報

 


カラーで見るアジア植民地支配 

http://www.youtube.com/watch?v=K70rm_-e-OA&feature=related

 

シルバー回顧録 

http://homepage3.nifty.com/yoshihito/genin-2.htm#jiei

 

世界から見た大東亜戦争 

http://ochimusya.at.webry.info/200908/article_14.html

 

スペインによるアメリカ大陸の植民地化 ウィキペディア

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%A4%A7%E9%99%B8%E3%81%AE%E6%A4%8D%E6%B0%91%E5%9C%B0%E5%8C%96

 

 

 

「正しい日本の歴史」 (目次)

http://rekisi.amjt.net/?page_id=9

 

 

 

 

 

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